RTX Video Super Resolution(RTX VSR)は、NVIDIAが開発したAI超解像技術。ブラウザで再生する動画をリアルタイムでアップスケーリングし、低解像度の動画を高解像度ディスプレイで美しく表示する。
2023年2月にリリースされ、現在も継続的にアップデートされている。YouTubeやTwitchなどのストリーミング動画を、GPUのTensorコアを使ってAIで高画質化する。
ポイント:動画の作成者側ではなく視聴者側のGPUで処理が行われる。つまり、RTX GPUを持っている人なら誰でも、既存の動画コンテンツをより高画質で視聴できる。
RTX VSRは、低解像度の動画フレームをディープラーニングネットワークで分析し、ターゲット解像度での「残差画像」を予測する。この残差画像を従来のアップスケーリング結果に重ね合わせることで、高精度なアップスケーリングを実現する。
ゲームのDLSSがゲームエンジンのメタデータ(モーションベクター等)を活用するのに対し、VSRは入力フレームの情報のみで処理を行う。そのためブラウザの動画など、エンジン情報を持たないコンテンツにも対応できる。
RTX VSRは以下の2つの処理をワンパスで同時に行う:
処理にはRTX GPUに搭載されたTensorコア(AI専用プロセッサ)を使用する。通常のCUDAコアではなくTensorコアを使うため、ゲームプレイ中のGPU負荷とは別系統で処理できる(ただし完全に独立ではない)。
| GPUシリーズ | 対応状況 | 備考 |
|---|---|---|
| GeForce RTX 50シリーズ | 対応 | Blackwell世代。最高性能 |
| GeForce RTX 40シリーズ | 対応 | Ada Lovelace世代。推奨 |
| GeForce RTX 30シリーズ | 対応 | Ampere世代。初期対応 |
| GeForce RTX 20シリーズ | 対応 | Turing世代。2025年1月アップデートで追加 |
| RTX プロフェッショナル | 対応 | RTX 1000クラス以上 |
| GTX シリーズ | 非対応 | Tensorコア非搭載のため |
| アプリ | 対応状況 | 備考 |
|---|---|---|
| Google Chrome | 対応 | v110.0.5481.105以上 |
| Microsoft Edge | 対応 | v110.0.1587.56以上 |
| Mozilla Firefox | 対応 | v126以上(2024年追加) |
| VLC Media Player | 対応 | 専用ビルド |
| DaVinci Resolve | 対応 | RTX Video SDK経由 |
| Netflix / Disney+アプリ | 非対応 | スタンドアロンアプリは非対応 |
GeForce Experienceまたはnvidia.comから最新ドライバをインストール
デスクトップ右クリック → NVIDIAコントロールパネル(またはNVIDIAアプリ)
左メニューの「ビデオ」カテゴリ配下にある
チェックボックスをオンにする
レベル4が最高品質だがGPU負荷も最大。Autoにすると自動調整される
注意:設定変更後はブラウザをF5でリフレッシュしないと反映されない。また、Edgeではブラウザ内蔵の「動画の強化」設定をオフにする必要がある(競合するため)。
| レベル | 画質 | GPU負荷 | 推奨GPU |
|---|---|---|---|
| 1 | 最低(軽い補正) | 低 | RTX 20/30シリーズ |
| 2 | 標準 | 中 | RTX 30シリーズ |
| 3 | 高品質 | やや高 | RTX 40シリーズ |
| 4 | 最高品質 | 高 | RTX 4070以上推奨 |
| Auto | 状況に応じて自動調整 | 可変 | 全RTX GPU |
2025年1月のアップデートで新AIモデルが導入され、最高品質設定でのGPU消費が最大30%削減された。
ゲーマー向け注意:ブラウザでVSRを使いながらゲームをプレイすると、DLSSとTensorコアを奪い合い、ゲームのフレームレートが低下する可能性がある。ゲーム中はブラウザの動画再生を停止するか、VSRのGPU使用率を「Low」に設定することを推奨。
NVIDIAのRTX Video技術には、VSR以外にRTX Video HDRという別の機能もある。混同されがちだが、役割が異なる。
| 機能 | RTX VSR | RTX Video HDR |
|---|---|---|
| 目的 | 解像度を上げる(アップスケーリング) | 色域を広げる(SDR→HDR変換) |
| 必要なモニタ | どのモニタでもOK | HDR10対応モニタが必須 |
| 処理内容 | AI超解像 + アーチファクト除去 | AIでSDRをHDR10にアップコンバート |
| 併用 | 両方同時に有効化可能 | |
HDR対応モニタを持っている場合は、VSR + HDRの両方を有効にすることで、解像度と色域の両面からAIで動画品質を向上させられる。
YouTube事業:RTX VSRは視聴者側の技術であり、動画制作側が直接コントロールするものではない。ただし、RTX Video SDKを使えば、DaVinci Resolveなどの編集ソフトでAIアップスケーリングを制作工程に組み込める。古い素材のリマスターや、低解像度素材の品質向上に活用できる可能性がある。